この君 air

おおきに閲覧。

祥月ごはん

 

私の母は、買い物病院美容院以外で家を空けることがない。超絶下戸なので夜は出歩かないし、友人づきあいも少ないし(同窓会があっても行きたがらない)、祖母の世話やら家事やらで一日の大半が過ぎてしまう。

 

そんな彼女が1年に1回、かならず外出する日がある。友人の命日だ。中学校の時の同級生が若くして亡くなって以来、もうひとりの親友Iさんと墓参りに行くのだ。Iさんの仕事の都合で命日以外になることもあるが、祥月にはあわせている。昼間のわずか数時間の外出にもかかわらず、知らない店で外食し、お茶を飲むことがとても楽しみらしい。いつだったか「墓参りとごはん、どっちがメイン?」と聞いたら「ごはん」と即答したので、きっと雲の上の友人は苦笑しているにちがいない。

 

昨晩。母が「予定どおり明日、出かけるからね」と告げると、父が「食後はどっちかの家でお茶すればいいのに」と言う。「お父ちゃん、それはね、“肉じゃがなんて家で作れるんだから、居酒屋じゃなくて家で食えよ” と言ってるようなもんです。人様に出してもらうからいいんです」とわかったようなことを母の代わりに言うと、納得したようなしないような顔をしていた。納得しなさい。

 

ということで、いま出ている。おなかいっぱい満たしてらっしゃい。