この君 air

おおきに閲覧。

ハハの壁

 

私にとって、家族の中でまともに話ができるのは母くらいなのだが、彼女とえらく意見の食い違うテーマがある。門限だ。

振り返れば、わが家は「遊び」に対して厳しい家だった。ゲームは与えず(ただしドンジャラは可)、漫画に対してもいい顔はせず(ただし長谷川町子作品や「美味しんぼ」などは可)、友だちと遊ぶのも夕暮れまでが暗黙の了解。外泊も禁止だったので、友人界隈でお泊まり会が催されると、指をくわえて眺めていた。

子どもが三十路を過ぎても、おなじ屋根の下に住んでいる以上は、帰宅するまで心配なのだそうだ。外で飲むたびに帰宅時間をじわじわ遅らせ、母の感覚を麻痺させようと努めているが、2時以降になると電話が鳴る。下戸な母には、お酒好きで長尻な私の一面が理解できないらしい。このあいだも、先手を打って「友だちの家いくから寝ててね」とメールしたのに、それに気づかず3時台まで起きていたという。「母ちゃん寝かせてやれよ」と父は嘆くが、そういうあなたこそ若い頃、マージャンで完徹していたのを私は忘れない。

「あんたに何かあった場合、“寝てて知りませんでした”じゃすまないでしょ」と言うのを聞くと、親としての世間体を気にする部分も少なくないのだろう。外泊を嫌がるのも、泊めた側の片付けの手間にまで思いを馳せているからだ。もっと自由に、手を抜いてもいいのになと、不良娘は思う(自己都合)。

そういうわけで、はめを外したいときは「外勤ついでに△△で1泊」「◯◯へ買い物へ」などと事前に口実を作り、準備万端で出かけている。これもひとつの親孝行。私が母の気持ちを理解できる日は、まだまだ遠いな。

 

 

おまけ:勤務中、母からメール。

f:id:sanamiaki:20150204212245j:plain

薄焼きタイプ(12枚)。