この君 air

おおきに閲覧。

送る阿呆

 

職場の送別会で、酒の勢いにまかせて締めの言葉を引き受けたまではいいものの、感情が昂ぶって話しながら号泣するという醜態を晒した女はここにいるよ(テルマ)。

 

家族よりも同僚といる時間のほうが長い社会人からすると、信頼している同僚の異動ほどつらいものはない。巣立つ人、見送る我々の双方にとって、今回の人事は成長の機会になりえることはわかっている。ただ、せめてもう1年、そばで学ばせてほしかった。

「行かないでください」ということばを呑みこんで、「◯◯さんは鮭です。いつか今よりもっと大きくなって、私たちのところに帰ってきてくれると信じています」と、下手な喩えとともに送別の辞を贈った。帰るべきふるさとを絶やさず守りつづけるのが、残された者の役目。緩んだ褌、ちょいとキツめに締め直しとこう。

 

ここ数日は引き継ぎに追われ、別れを惜しむ隙もなかった。明日はどんな顔で過ごしたらいいのだろう。うまく笑って、送り出せますように。

 

 

耳のお供はにぎやかに。さいさいさーい。