この君 air

おおきに閲覧。

小太り女のコブとり記 4

 

6月6日(手術翌日)

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09:30に診察。傷口からいらない血液を排出するため、手術後から首にドレーンという管をつけている(写真はグロくて恐縮な排液用ポット)。この日の排液量は 33ml。左側の顔面神経には一時的な(、しかし最低1ヶ月は続くとみられる)麻痺が残っているので、口元ゆるゆる、左眼うるうる、耳もしびれる。目つきもえらく悪いので、鏡に映る半顔お岩さんな自分を見るたびハッとした。「このままずっとこの顔だったらどうしよう」と思うと切なくなって、柄にもなくしくしく泣いてしまう。

 

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この日は3食、おかゆが主食。もともと雑煮の餅が苦手な私、「もしかして白粥も苦手なのかも」と飽きるほど食べて気がついた(味噌粥は好きなんだけどね)。おかゆとカボチャという個人的最凶コンボな日には、入院前のアンケートに苦手な食べものを列挙した意味をひたすら問うしかない。

 

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入院中にいちばん見てはいけない番組を見ながら、すするのはおかゆ。

この夜以降、寝るときは点滴から解放されることになった。しかしドレーンはそのままなので、トイレの際など、ポットの入ったバッグを肩からぶら下げているとバブル臭漂う装いに。肩パット入れたら完璧だ。

 


6月7日(手術後2日目)

排液 15ml。20mlを下回ればドレーンは外せると聞いていたが「もう1日かなー」と延長。

 

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入院中、空いている時間は iPad mini +ワイヤレスキーボードで仕事をしたり(ノートPCを持ち込まないで済むから便利)、リーディングリストに溜め込んでいたCakesの記事を読みふけったりして過ごした。日当たりの悪い廊下側のベッドの上では鬱屈とするので、宮沢賢治のように「デイルームにいます」と置き手紙を残し、窓辺の席に居座る(写真右はそこからの眺め)。この日は母に頼んで、見舞いついでに院内コンビニ(LAWSON)の100円コーヒーを買ってきてもらった。かぐわしきシャバの香り。

 

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昼は麺。スタンダードな冷やし中華はもともと好んで食べないが、ずっと米ばっかりだった反動で箸が進んだ。でも口元がゆるいため、うまく麺をすすれない。

内服薬として毎食後飲む痛み止めをもらっていたが、飲まなくてもひどい痛みは感じないので、昼以降は頓服がわりに扱うことにした。

 

 

6月8日(手術後3日目)

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入院中いちばん待ち望んでいた献立、ねぎ納豆ゥース。いつもより気持ち多めにかき回す。


排液も10ml以下になり、ドレーンを外せることに。傷口の痛みよりも、顔や首回りの産毛にひっついた固定テープをはがすのが痛くて涙目になる。今朝の診察には若い研修医がいてときめいたが、テープの剥がし方と糸の引っ張り方が容赦なかったので減点(←何目線)。首輪を外された犬のようにきゃんきゃん喜んだのもつかの間、抗生剤の点滴は今日いっぱいとのことでしゅんとする。

 

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↑ これもグロくて恐縮な傷写真。傷跡から察するに、耳たぶ周辺は傷が目立たないように配慮して切開してくれたようだ。チダちゃんやりおる。(この写真だとわかりづらいが、)左頬の腫れはかなりのもの。触れると水風船みたいにボヨボヨして、その感覚が少しクセになる。

 

 

6月9日(手術後4日目)

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朝の診察後、「退院いつにする? 明日でもあさってでもいいですよ」と軽いノリで聞かれた。抜糸後すぐ退院もできるし、大事をとってもう1日いてもいいし、本人次第とのこと。10日の昼ごはんが「鷄の竜田揚げ」という比較的ジャンキーなメニューで惹かれたが(病室のモニターで食事の献立が確認可)、鶏のためだけに滞在を延ばすくらいならシャバで美味いもの食べたい、と即退院を決めた。

 

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朝のヘリ着陸に、病棟の子どもに負けず劣らず大興奮の三十路女。秋田や新潟の県境からも来るそうな。

 

肩から下のシャワーも前日から解禁になっていたので、昼前にひさびさの予約入浴をした。身体は暖かいタオルで拭けるのでまだいいのだが、髪の毛を洗えないストレスで爆発寸前。「肩から下」の制約を無視し、浴室備え付けのシャンプーハットを装着してザザッと洗った(傷口はテープで保護されていたので、とくに支障なし)。…例の北島康介の名言、10回は出たね。

 

午後、朝の診察で不在だったチダちゃんがぶらりと来てくれた。左頬の腫れは唾液によるところもあるかも、との見立て。両手で頬の下をボヨボヨボヨボヨさわられて、犬の気持ちをなんとなく知る。

お岩さんだった左眼は、少しずつ元のかたちに戻ってきた。しかし顔の筋肉の不自由さは変わらず。