愛のバトン
蚕が糸を吐き出し繭を作り、それを人が糸にして、一枚の布に織り上がる。しなやかな光沢は、さまざまな労苦や人の導きがなくては生まれない。白のドレスに身を包んだ彼女を見て、まさに絹のような人だなと感じた。
「失いたくない」と思う人が現れたら、決して手を離さないこと。「これだ」と直感したら、自分を信じて具現化すること。その大切さを、彼女は身をもって教えてくれた。簡単に真似できる所業ではないけれど、そういうことをやり遂げられる人が近くにいることを、私はしあわせに思う。
華やかなブーケ。見た目に似合わず、ずっしりとした重みがあった。「これを鈍器がわりに男の頭を殴って、朦朧とした隙に婚姻届にサインさせればいいかも」と帰りのエレベーターの中で話したら、乗り合わせた男性が苦笑していて、こんなだから私は人生ゲームの駒の助手席を埋められないのだと悟った。
後続に渡せるよう、尽力します。