この君 air

おおきに閲覧。

みるTYO

 

約半年ぶりに、東京へ。3つの展覧会を巡った。

初日。上野に行ったのは、国宝展が目当てだった。雨天の平日であれば問題なかろうと思っていたが、そこには50分待ちの大行列が。人ごみをかき分けて国宝を拝む濡れネズミにはなりたくないと、他の展示に足を運ぶ。

 

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都美は混み具合もほどよく、スピーディーに鑑賞できた。印象に残ったのは、メディチ家タピスリー製作所による大きなタピスリー。精密かつ豪華な作品群を前に、嘆息。

出口には『パラスとケンタウロス』のパネルが設置されている。「いやねぇ誰がこれで写真撮るのかしら」と呆れるセレブ妻たちの近くで、「私だ」と顔をはめたい衝動にかられたが、ケンタウロス役不在のため未遂。

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帰りがけには、傘立ての鍵が壊れる珍事件も起こり、田舎女の怪力ぶりをアピールするはめに。鍵はちぎれる(←「カワイイはつくれる」風に)。

 

 

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雨の上野を歩きながら、看板に誘われて立ち寄った国立西洋美術館は、人も少なくいっそう快適。展示そのものもすばらしく、絵からあふれ出す躍動感に魅了された。運動オンチの私ですら、観ているうちに踊りたくなるほど。同時に開催されている『ネーデルラントの寓意版画』も、版画好きとしては満足のラインナップだ。

 

 

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2日目。以前お会いしたことのある写真家・大串祥子さんが作品集を上梓なさったので、その記念の展示を観るべく銀座の地下へ潜った。イートン校、ドイツ軍、近代五種。舞台は違えど、被写体の男性たちにはみな(たとえ彼が屈強な肉体の持ち主だとしても)儚い美しさが漂う。写真を眺めていると、ファインダーを覗いているのは自分なのではないかという錯覚を起こした。すごく近くて、でも触れがたい。彼らを1冊の本として、傍らに置いておける喜びと畏れよ。サインを頂戴し、盛況の画廊をほくほく顔であとにした。